作業 死亡|トップ|向島労基署長遺族補償等不支給処分取消
作業 死亡 労働事件裁判例。昭和62(行コ)82 向島労基署長遺族補償等不支給処分取消のトップ
主 文原判決を取消す。
被控訴人が控訴人に対して昭和四七年一〇月三一日付でした労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料を支給しない旨の処分を取消す。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
事 実 控訴代理人は、主文同旨の判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張は、当審における補足的主張を次のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する(ただし、原判決四枚目裏四行目の「発生した」の次に「という」を加え、同七枚目裏二行目の「をもって」を「で」に、同一一枚目裏一行目の「a」から同四行目の「急死した」までを「右のような精神的緊張を伴い、かつ通常より厳しい業務の遂行が基礎疾病である冠状動脈硬化症、心肥大を増悪させ、aに悪性の不整脈(心室細動)を生じさせ、同人を急死に至らせたもので、aの死亡は、右基礎疾病とaの右業務の遂行による精神的緊張とが共働原因となって生じた」に、同一四枚目裏二行目の「詳目」を「細目」にそれぞれ改める。
)。
(控訴人の当審における主張) 被災者であるaの有していた基礎疾病である冠状動脈硬化症、心肥大はそれだけで死に至るような重篤な状態にあるものではなかったが、次のような要因が複合し、それが相対的に有力な原因となって、右の基礎疾病を急激に増悪させ、aを死に至らしめたものである。
1 本件作業現場は狭隘であったため、ミキサーとベルトコンベヤーを設置することができただけで、通常の足場をくむことができず、また、セメントもミキサーのわきに置くことができないので離れた場所に置かざるを得なかったため、練り方は、その作業開始前に必要なセメント袋をその都度セメント置き場から運搬しなければならず、また、練り作業を始める度ごとに一袋四〇キログラムのセメント袋を足元に積んだブロックに上って、持ち上げるようにしてこれをミキサー内に入れざるを得なかったのであり、いずれも努責(力み)を生じる静的筋活動を強いられ、筋収縮による血管圧迫、更に息こらえによる呼吸停止とそれによる胸腔内圧の高まりが生じ、aの有していた基礎疾病が増悪する方向へと影響を及ぼした。
2 aの就労期間(昭和四七年六月三〇日から同年七月七日まで)の気象環境は最高気温、最低気温、平均気温がいずれも歴年と比べて異常気象ともいえるほどの高温状態で推移し、被災当日直前の七月五日、六日の夜間気象環境はいわゆる熱帯夜に近い状態にあり、aの従事していた重労働による疲労の回復を阻害し、疲労の蓄積進行を著しいものとした。
そして、このような疲労の蓄積のまま被災当日の就労に至り、高温下での本件作業の遂行はaの体内の血液水分含有量を減少させ、いわゆる水負債の状態が生じ、血液濃縮(血液粘調度増高)を来し、血液粘調度を増した血液は血管内壁との間に摩擦抵抗を起こして血液がスムースに流れなくなり、心・血管系(循環器)の活動をより亢進させた。
そして、基礎疾病として冠状動脈硬化症がある場合は多少なりとも血管が狭窄していることを意味するから、血液の血管内通過抵抗を大きくし、ますます心・血管系の活動を亢進させ、基礎疾病を増悪させる結果となった。
3 本件作業は、重量物であるセメント袋の運搬作業、セメント袋を持ち上げてミキサー内にセメントを入れる作業、砂置場の砂をスコップでベルトコンベヤーに投入する作業、練り上がったモルタルを入れたバケツ二個を運搬する作業等の重労働ないし激労働に属し、特に被災当日は時間を短縮して右作業に従事し、また、被災直前には三階屋上まで階段の昇降をするという重労働をしており、このような重労働ないし激労働は酸素消費量を増大させ、基礎疾病を増悪へ導くことになった。
(被控訴人の控訴人の当審における主張に対する反論) 控訴人の当審における主張は争う。
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